バーツ解放戦争は2004年6月、MMORPGリネージュ2のバーツサーバーで発生したユーザー同士の仮想戦争で、実際の時間では約12ヶ月、ゲーム内の時間では48年間行われた。この戦争はユーザー同士で自発的に発生した仮想現実(ここではオンラインゲーム)内の叙事として例えられることがある。 以下はイインホァ教授によるバーツ解放戦争の解説。踏み入った話ではないし、感傷的過ぎるなどの問題が見られるが、(特に最後の'崇高'云々はどうかと思う)概要を掴むにはいい文章だと思われる。 ―前略― 最初に'リネージュ2'の仮想現実に接続したユーザーはキャラクターリストに何もない仮想空間に出くわす。セレクションスクリーンと呼ばれるそこでは、ユーザーは自分が望む姿へと自分のキャラクターをデザインする。このような選択には種族、性別、外見だけでなくヘアスタイル、背丈、肌の色など、様々なディテールが含まれる。 このような造形の過程を通じて、ユーザーはキャラクターと感情的にとても癒着する。現実空間で私の外見と名前は私が選択したものではない。私の成長もまた、相当な部分が両親と社会的条件に影響される。しかし仮想空間で作った私のキャラクターはその外見と名前、そして成長過程まで私の努力によらないところがないからだ。 ついにレベル1のキャラクターとして生まれたユーザーは種族によってそれぞれ違う場所からゲームを始めることになる。町と町を移動しつつゲーム内で登場するNPCたち(Non-Player Character·プログラムにより作られたキャラクター)をクリックすると、様々な遂行課題=クエストを請け負うことができる。クエストを遂行すると経験値と金を褒賞として貰う。ほかのプレイヤーと協同して狩りをしながら経験値を溜めることができる。一定の経験値が溜まるとレベルが上がり、キャラクターの能力が向上されより水準の高いアイテムを使用できる。また、より専門的な職業が選択できるようになり、プレイヤー集団である血盟を創設して軍主になることも出来る。 血盟は軍主と一般血盟員で構成されるが、軍主のSP(スキルポイント)とアイテム、金を支払いレベルを上げる。血盟のレベルが上がるにつれ血盟内で出来ることが多くなり血盟が率いることが出来る最大人員も増え、血盟の間で戦争も行えるようになる。戦争を通じて血盟はその勢力を広げることができ、4レベル以上の血盟は'城'を手にすることができる。城を手にするための血盟同士の戦争が攻城戦だ。 民衆階層の蜂起 ‘リネージュ2’の世界で起こった色んなストーリーの中で私たちが注目するのは第1サーバー(バーツサーバー)で2004年6月に勃発した'バーツ解放戦争'だ。'リネージュ2'には32個のサーバーがある。この中でバーツサーバーは歴史が最も古いサーバーで、ユーザーたちが開発社に対して抗議デモを行う、政治的代表性を持つサーバーだ。バーツ解放戦争は'リネージュ2'で発生した数多くのストーリーの中でも現実世界の日刊紙に報道されるほど大きな反響を起こした事件だ。 バーツ解放戦争は'リネージュ2'の世界でとても異例的な事件だ。'リネージュ2'の世界はレベルによる階層的差別性がはっきりと提示される、徹底とした階層社会だ。レベルによって着る服と使う武器などアイテムが違い、出入りできる地域も違う。 'リネージュ2'のストーリー世界では現実歴史の'民衆'に比喩できそうな階層が存在する。統計資料を見ると40レベル以下のキャラクターたちと規定されるこの民衆階層は2003年11月25日現在、全体'リネージュ2'プレイヤーの85.9%を埋める。一方、65レベルから75レベルの間のキャラクターでありながら支配血盟に所属している、現実歴史の'軍事貴族階層'に比喩できる階層もまたはっきりと存在する。 レベルが上がり勢力を形成した血盟に入ればかっこいい武器と良い服を着ることができ、美しい城で住みながら自分の権力を誇示しつつ自由を満喫することが出来る。低いレベルの群小血盟員は頻繁に攻撃を受けて死に、野原と陰湿な洞窟、崩れた砦などで血盟集会を行う。狩猟場に自由に出入りできないため、レベルを上げる機会も少ない。 このような階層分化はレベルの違いによる利害関係の相反現象を起こし、血盟戦争の拡散を防ぐ要因として作用したりもした。戦争血盟の血盟員になるためには少なくとも55レベルほどにならねばならず、DK血盟のような名の知れた血盟に加入するには少なくとも61レベルから65レベルにならなければならない。したがって血盟戦争はそれほどレベルが高い戦争血盟の人々だけの関心ごとだ。 このように階級構図がはっきりしている'リネージュ2'の世界で民衆が大々的に蜂起した2004年6月のバーツ解放戦争はとても異例的なことだ。バーツ解放戦争は'リネージュ2'の世界を根本から揺れ動かした。バーツ解放戦争は脅せば屈服し、殴れば殺す民衆が権力を転覆させることも出来るということを見せてくれた。民衆の高潮した熱狂はシステム上で不可能だと思われた勝利を作り出した。 このような勝利はクラトス(Kratos)、つまり激しく原初的な物理力が支配していた世界にエトス(Ethos)、すなわち精神的で道徳的な価値理念を出現させた。以降の'リネージュ2'世界ではいかなる権力もこのようなエトスの前提なくしては被支配階層の服従もしくは権力に対する黙認を得られないという真理が確認された。 支配血盟の圧制と税金引上 このようなバーツ解放戦争の勃発には二つの経済・政治的要因が作用した。 ひとつめの要因は10%から15%に変わった2004年2月16日の税率引上だった。税率とは城を手にした支配血盟と開発会社が商店で取引されるすべての物品代金の一定比率を分け合うことを意味する。高いレベルのユーザーは自分に必要な物品をほかのユーザーと直接取引するため税率の引上にこだわらない。これに反して商店から武器と服、魔法防御のための装身具、各種のポーションと魔法書を買わなければならない40レベル以下のユーザーにとって税率引上は生計を脅かす変化であり、このような不満は税金を徴収する支配血盟に対する怒りへ繋がり解放戦争に対する広範囲な共感帯を形成した。 二つ目の要因は、極限に至った政治的圧制だった。バーツサーバーには1000個を超える血盟が存在する。この中で'争血'という戦争血盟と'親睦血'という社交血盟の境界はとても流動的だ。争血の内部でも社交活動があり、親睦血もほかの血盟に戦争を宣布すれば戦争血になるからだ。二つの中で'リネージュ2'世界の歴史を動かすのは戦争血のほうだ。 戦争血はほかの血盟より更にレベルが高く。より長い時間を活発に接続し、よりPvP戦闘(プレイヤー同士の対人戦)に長けた血盟員を迎え入れるために互いに競争する。このような勢力競争で勝利した血盟が支配血盟となる。時には最強の組織を構築した巨大支配血盟の軍主は、ほかの有力な血盟と談合して恐怖と戦慄による鉄拳統治を具現することも出来る。バーツサーバーに表れたのがまさにこのような支配血盟の鉄拳統治だった。 2003年7月6日オープンベータテストが始まった直後からバーツサーバーを支配してきたのはドラゴンナイツ(Dragon Knights·通称 DK)血盟だった。既に'リネージュ1'から活動し、組織を整備した状態で'リネージュ2'に移ってきたDK血盟は最も先に強力な戦闘力を持つ血盟員を糾合する。それからDK血盟は'リネージュ2'の神話的古代世界から集団として具現される人間意思の強烈さを遺憾なく見せてくれた。 狩猟場統制により利潤を独占 彼らは'統制令'によって良いアイテムと経験値を得られる狩猟場を封鎖し、ほかのユーザーの出入りを防いだ。その上'刺殺令'を発動し、血の独裁を展開しつつ自分の独占した狩猟場では'オート'と呼ばれる自動マクロプログラムによる狩りで24時間アデン(リネージュ世界の通貨)を稼いだ。また、その時々に有力なほかの血盟と適切に提携することで対抗する血盟の挑戦を成功的に粉砕した。 ゲーム狩猟場の統制は'リネージュ1'から始まった現象だ。'リネージュ1'で狩猟場統制による利潤独占を学習したDK血盟は早くから'統制'と'オート'を隠密に行ってきた。しかし2004年3月、巨大3血盟団結式を通じて無所不為の権力を確認したDK血盟は'統制'と'オート'を既定事実化しつつこれに反抗するユーザーたちを殺害する'刺殺'を拡大した。 このような権力の横暴、何の価値理念も前提しない一方的な物理力の発言は一般民衆に忍耐心の限界を経験させた。これが税金引上による民衆階層の広範囲な不満と結合することで、ついにバーツ解放戦争が起こったのだ。 バーツ解放戦争の序戦は2004年5月9日、紅の革命血盟がDK血盟軍隊が防御するギラン城を占領し"税率0%"を宣言したこと。この奇跡のような勝利は狩猟場という生存の場を封鎖され刺殺の恐怖に怯えた被支配階層の民衆に強烈な印象を与えた。 それに伴い単独でDK血盟に戦争を宣布した後、無残に鎮圧されたことのあるザキング血盟、純粋な魔法使いだけの血盟であるハリーポッター血盟、ハードロック血盟、リベンジ血盟など、支配血盟ではないがかなりの勢力と力を持っている血盟らがひとつにまとまった。これらが'バーツ同盟軍'を結成し'反三血'の旗幟を掲げると民衆は一人ずつその隣に集まり、自発的にこれらの盾となった。 戦闘力の低い低レベルのユーザーたちはDK血盟を中心とした3血連合軍の矢を受ける盾となり無数に死んでいった。民衆階層が試みることができる唯一の対応法案は人海戦術だ。バフ(攻撃及び防御能力の一時的な増強)とスキルの華麗な効果音とともに一方的に相手を惨殺するDK血盟戦士の姿と数十名が落ち葉のごとく死んでいく一般ユーザーの姿は古代的パトスの絶頂を見せてくれた。 自由の旗の下で死ぬ このような状況は人々の正義感を刺激した。反3血側の切迫とした呼びかけの文章がインターネットに投稿されると、暴圧に苦しんでいたほかのサーバーのユーザーたちも自分たちのキャラクターを捨て'正義と自由'を叫びバーツサーバーに押し寄せてきたのだ。彼らはバーツサーバーで新しくキャラクターを作らなければならず、彼らのキャラクターは取るに足らない低レベルになるしかなかった。人々は低レベルのキャラクターでせいぜい下着ぐらいを着て安物の骨短剣だけを装備した彼らをフランス革命のサンキュロット集団に比喩して'下着団'または'骨団'と呼んだ。 ほかのサーバーのおユーザーたちが参戦してバーツサーバーが慢性的な接続障害に苛まれたこの時期、多くの訴える文章が表れた。 バーツサーバーのこの戦争は一般ユーザーの力を引き出せなければバーツ同盟が敗北します。たった1レベルのキャラクターでも数十名が集まりDK連合に攻撃を加えれば物理的にはもちろんのこと心理的にも大きなダメージを与えるはずです。(中略)今回の戦争はバーツサーバーだけでなく、全サーバーがその結果を注目しています。特に巨大血の抑圧を受けている多くのサーバーのユーザーが一緒に見つめています。彼らに希望を与えるべきです。彼らに自信を持たせるべきです。二度とどんなサーバーでもこのような独裁がないようにすべきです。私は今この瞬間、すぐにバーツサーバーにキャラクターをつくり下着団に合流するつもりです。私の胸の中でたぎる血を抑えられません。そしていつか人々に自信を持って話しましょう。その巨大だったバーツサーバー解放戦争に下着団の一員としてその場にいたと。 - キョムデンイ大王、 <全サーバーのユーザーよ決起せよ> (2004. 6.16.) 下着団の主流は一日や二日しか育成できなかったレベル10前後のキャラクターだ。骨短剣を持った彼らの攻撃力は5~10ポイント(一度攻撃する際に相手が受けるダメージ)だ。彼らが相手にするDK血盟員は65レベルから75レベルの強者であり彼らの攻撃力は一度の攻撃で1000~1300ポイントに至る。攻撃を行う速度を考えると、これはいかなる戦術でも立ち向かえない差である。 しかしオンラインゲームでネットワーク化したコンピューター環境は孤立した個人の想像力と問題解決能力を超える集合知能(collective Intelligence)を出現させる。これはまるで一匹の蟻は低い次元の知能を持つが、触角を並列でつなげたその集団の知能は人間よりも優れた最適の行為と最適の解答を導くことに似ている。 下着団の構成員が見つけた最適の戦術はDK血盟戦闘部隊の側後方に回り、最も脆いヒーラー(治癒術士)を'モータルブロー'というスキルで100名ぐらいが同時に刺す方法だった。下着団一人は自分が死ぬまで敵のヒーラーにおよそ40のダメージを与えることができた。100名の火力は40X100=4000ポイントに至り、一度に4000ポイントの体力が減ったヒーラーは手も足も出せずに戦士する。こうやってヒーラーが戦士すればバフとヒール(ダメージを受けた体力の回復)を貰えないDK戦闘部隊は中心をなくし、その後に押し寄せる下着団により各個劇はされ死んでいった。 やられてみた人しかわからない 'リネージュ2'のチャットウィンドウは空白を含めて24字を打つといっぱいになる。また、現実的に同一な作戦行動を行える単位は9名に過ぎない。下着団はこのような制限された意思疎通の環境で制限された手段を利用して数百名、数千名に作戦命令を下し反応しながら現実の戦闘軍団のように迅速に起動した。そうしつつ敵に対する欺瞞、恐怖感助成、一糸乱れぬ移動と果敢な突撃、時には独創的な戦術行動を実現した。このような機動戦の驚くべき方式はネットワーク化したコンピューター環境の集団知能がどれほどの力を発揮できるかを見せた実例だ。 このような集団知能は単純に戦闘に留まらなかった。Pierre Levyの指摘のように、集団知能は個体的次元の状況を連携してより高貴で上昇的な価値を生産する。この時期、'リネージュ2'ユーザーの胸に発生した義憤と情熱、正義に向けた熱望は単純な遊びとしてのゲームの次元を超えるものだった。 もちろんゲームのデータベースの上を移動するユーザーの動きは仮想的であり、彼の夢見る革命はダウンロードしたプログラム内の想像だ。しかし現実空間の体験がユーザーの人生であるように、仮想空間の体験もユーザーの人生だ。現実での動きではないが、その凄絶で切迫な感情的経験はユーザーが出会う一生に一度だけの体験であるからだ。 ある人はこう言います。これはゲームに過ぎないと。現実と勘違いするなと。それを知らない人はいません。にもかかわらず何故ユーザーたちがここまでするのかについて聞かれるなら、一言だけ話します。 “やられてみた人しかわからない” オンラインゲームは仮想現実の世界です。自分のキャラに愛情を持ち、自分がそのような状況に陥れば誰でもそうなるしかありません。ゲームであることを知らないからではありません。ゲームであるとしても、ゲームもひとつの仮想現実であり、そこでも正義があるべきだと考えるからです。マトリックス映画とは全く違う次元です。マトリックスはネオという英雄に熱狂するのですがリネージュ2は自分のキャラがリネージュ2という空間に存在するため自分自身の問題なのです。 過去に私は'リネージュ1'でとても小さい血の軍主をしていました。その途中で些細な問題で当事の巨大血の攻撃を受けました。とても悔しかったのですが私は何も言わずにそちらの軍主に正式な血戦を求めました。負けることは知っていました。いや、虐殺されるだろうことはよく知っていました。しかし一度戦ってみようという血員たちの覇気と勇気を無視することは出来ませんでした。卑屈になりたくありませんでした。私は黙々と、私の装備を緊急処分し血員たちにポーションを支給しました。そして戦場に行ってみました。一方的な虐殺でした。しかし血員たちはたった一人も不評不満なく黙々と戦いました。むしろ私を慰めていました。 私は未だにそのときを思い浮かべます。そして懐かしみます。正義のために負けることを知りながらも堂々と死んでいった血員たちがとても懐かしいです。そしてそのときの行動に対して一度も後悔したことがありません。今回のバーツ解放戦争でもそうやって誇らしく戦うつもりです。私一人は大きな力になれないとしても小さな力が集まればいかなるものも覆せるということを確実に見せてあげます。 (2004. 6.17. ‘リネージュ2’ ゲームフォー掲示板訴え文のコメントから) 下着団の活躍 このように下着団は'リネージュ2'という仮想現実を現実の時空間的な制約を超え'正義と自由、そして同士愛'という高貴な価値に連帯する、現実より更に崇高でより人間的な空間へと変貌させた。 バーツ解放戦闘で下着団が作り出したエトス、倫理的価値理念はオンラインゲームのような現実の仮想現実化がより高い段階の人間化という事実を暗示する。仮想(Virtuality)は単純に'実物のように見える偽り'ではなく、現実では潜在的に存在する人間的な価値を目の前に具体的に現示したものだ。 2004年6月の大接戦期間にDK血盟はいかなる世論の圧迫にも屈せず最後まで抗戦した。下着団は殺しても殺しても果てしなくバーツサーバーに押し寄せ、5個の城を中心に主要な戦場は両側の死体でいっぱいになった。 7月に入るとバーツ同盟軍(革命軍)の戦列はより強固になった。紅の革命血盟とリベンジ血盟を中心に32個戦争血盟が'バーツ解放'の旗のもとに集結し、無数の下着団がこれらの外郭を守護した。DK連合軍は野戦にて敗退を繰り返した末についに鋼鉄のようなDK連合軍5個の城の中で最初にオレン城が陥落した。この仮定で全サーバー最強の戦士であるDK連合軍のアキラスが純粋な低レベルの下着団との戦いで戦死したりもした。 やがて6月28日3血同盟の主軸でありDK血盟に続く巨大血盟だったジェネシス血盟が狩猟場で起きた些細な衝突を理由にして DK血盟と決別しバーツ革命軍に投降する衝撃的な事件が発生する。当惑したDK血盟は緊急に情血盟とウィナース血盟を懐柔し4血同盟を結成したが支配連合の戦列は大きく揺るがされた後だった。 そうやって7月17日、バーツ解放戦争の分水嶺となったアデン攻城戦が繰り広げられた。この時期、バーツ同盟軍は40個の血盟に至り、オレン城を占領した状態だった。リネージュワールドの中北部に位置するオレン城は辺鄙な山岳地帯に位置しているが60レベルのエルフ族戦士がウィンドサーカーのバフを受けは知れば10分内に狩人の村を経て首都のアデン城を攻略できる、戦略的要地だった。 当事、バーツ同盟軍は7人の指揮官が率いる粗末な集団指導体制で動いていた。この指揮官たちはオレン城の城主でありリベンジ血盟の総軍主'ナリタ'、紅の革命血盟の総軍主'涙を隠して'、ハリーポッター血盟の総軍主'パクションマン万歳'、ザキング血盟の総軍主'ヒェウォン娘子'、水源城血盟の総軍主'カルデスマ'、ハードロック血盟の総軍主'エルブンバック騎士'、そして最も後から合流してバーツ同盟軍の中に妙な緊張を走らせたジェネシス血盟の総軍主'カーリツバーグ'だ。 革命が太陽のように光った日 ここまで多い血盟が終結したがバーツ同盟軍は未だに数的にDK連合軍に比べて劣勢だった。このような力学関係はバーツサーバーの独特な政治的情勢からなるものだった。バーツ解放戦争がおきる前まで現実的にDK連合に加入したり許しを得ないままでは自分のキャラクターを52レベル以上に育てることがとても難しかった。52以上のレベルアップのためには入らなければならない狩猟場をDK連合が独占していたからだ。個人で破片化したユーザーたちは物質的な安楽と社会正義の間で殆どが現実との妥協を選んだ。その結果、戦争を行える殆どの高レベルのユーザーたちはこの時期に至ってもDK連合に属していた。 このように強力な戦闘力を持つDK連合軍の戦士らはDK血盟の総軍主であり支配4血の総軍である‘shadowヨソル’の指揮のもと一糸乱れなく動いていた。'shadowヨソル'の下には血盟戦争の参戦経験が豊富な歴戦の勇者たちが布陣していた。神の騎士団血盟の総軍主'至尊軍主'、ウィナース血盟の総軍主'蒼い戦士'、情血盟の総軍主'満月の暴君'が彼らだ。 活論からいえばバーツ同盟軍が大勝利を得たアデン攻城戦は欺瞞戦術の勝利だった。それほど多い下着団が参戦したにもかかわらずバーツ同盟軍は戦闘が始まり終わるまで一度も実際の戦力でDK連合軍より優位に立てなかった。不利だが回避できないこの戦闘でバーツ同盟軍の首脳部は欺瞞戦術を選んだ。 欺瞞戦術とは偽装や隠蔽の企画意図を持つ軍事行動だ。戦争で一定期間、敵を騙すために大兵力を陽動作戦に投入することより危険な作戦はない。クラウゼヴィッツは"欺瞞戦術が計画された所期の目的を達成した場合はほとんどない"と指摘しつつ"指揮官は策略を動因するより双方の戦闘力の冷厳な現実を直視しつつ必然性だけを考慮する'厳粛な熱意'を持つべきだ"と話している。 数的劣勢を欺瞞戦術で克服 このような観点から見て、バーツ同盟軍の勝利は奇跡だった。数多くの下着団の中にスパイがおりチャットウィンドウで一言でも入力したなら発覚されたはずの欺瞞戦術が2回も成功した。互いに顔すら見たことのないサイバー空間内で下着団の同士たちは現実空間より更に徹底した道徳性を見せた。 バーツ同盟軍の欺瞞戦術は攻城登録から始まった。'リネージュ2'のゲームルールによると両軍は攻城開始24時間前に攻撃する城へいき守城登録と攻城戦登録をしなければならない。登録締め切り10分前。ジェネシス血盟を除くバーツ同盟のすべての血盟はオレン城に守城登録をしておりジェネシス血盟だけがアデン城に攻城登録の手順を踏んでいた。バーツ同盟軍はどう見てもDK連合軍の奪還戦に備えてオレン城防御に専念したように見えた。 登録締め切り8分前。ジェネシス血盟さえ攻城登録を取り消しどこかへ消えた。これによりDK連合軍はアデン城守城登録を取り消しオレン城に移動するほか、バーツ同盟軍の位置を猛烈に探した。このとき、消えたジェネシス血盟軍とバーツ同盟軍本隊は狩人の村の近くで待ち伏せをしておりDK連合軍の移動情報が届くとすぐにアデン城の村へと走っていった。 登録締め切り3分前、バーツ同盟軍の位置を把握できず右往左往していたDK連合軍は仕方なくオレン城に攻城申し込みをした。同じとき、バーツ同盟軍はアデン攻城に26個の血盟が申し込むことに成功する。このときアデン城に守城登録をしたのはDKの1個ライン血盟に過ぎなかった。陽動作戦の欺瞞戦術でバーツ同盟軍は攻城に参加できる兵力で優位を占することになったのだ。 しかし7月17日、午後、攻城が楽になっただろうというバーツ同盟軍の予想は外れた。DK連合軍は午後7時までアデン城の周りに限りなく押し寄せた。彼らはとてつもない数で隊伍を整備し戦略的要地ごとにバーツ同盟軍の進撃を封鎖するための邀撃陣地を構築した。 熟練したDK連合軍は城の入り口の中間に刀と短剣、槍を持った部隊を配置し両極に広く弓使い部隊を布陣させた鶴翼陣を構築した。これは城門に突進するバーツ同盟軍を一點射で阻止することに最も効率的な陣法だった。 8時。決戦が始まると最前線にDK連合軍の猛将アキラスが率いる'全サーバー最強の戦闘部隊'アキラスパーティ(9名)が表れる。アキラスパーティは瞬きする間にバーツ同盟軍3個パーティを全滅させバーツ同盟軍の最前線陣地を破壊した。戦力の優劣があまりにも明白に表れた。ただひたすらにどんな犠牲を払っても引き下がらないという意思だけがバーツ同盟軍を維持させていた。 9時。無数の犠牲にもバーツ同盟軍は陣地さえ立てられなかった。攻城軍側が1時間がたっても陣地を建てられなかったということは致命的な戦況である。攻城軍側が戦死した際に、陣地があればその陣地で復活できるが、陣地がなければ2度目に遠い町で復活し、10分ほど走ってくる必要があるからだ。こんな状況でバーツ同盟軍の二回目も欺瞞戦術が始まった。 その2につづく
by no_moyan
| 2008-08-19 18:25
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