バーツ解放戦争 (1/2)のつづき 人間バリケードで連合軍の退軍をを阻止 9時10分。バーツ同盟軍は壊れた陣地を後にして四方八方へと敗走し始めた。DK連合軍の目にこのような敗走はとても自然に見えた。相手は総司令官さえ決められていない、互いの顔も知らない血盟の粗末な結合であり、下着しか着ていない寄せ集めの軍隊だった。DK連合軍の猛攻に1時間も耐えたことが不思議なほどだった。 9時20分。勝機を得たDK連合軍は進軍した。敗走したが敵の主力が完全に粉砕されていなかったからだ。連合軍の首脳部は決定的な勝利を獲得するためにアデン城の周辺の戦場を離れオレン城へと追撃戦を決定した。そしてもしもに備えてCC地域のレッド軍団弓使い部隊とDD地域のホワイト軍団弓使い部隊を残留させた。 しかしこのときバーツ同盟軍は敗走したのではなかった。敗走するように見える欺瞞戦術を行ったのだ。バーツ同盟軍は殆ど散開せず、戦場の外郭に集結して待ち伏せをした。 オレン城へと進軍したDK連合の大軍はリベンジ血盟を含む小部隊だけが守っているオレン城を猛攻した。外城門の外側に攻城陣地を構築し攻城ゴーレム(城門を壊すための攻城武器)を出し、瞬きする間に外城門を壊してしまった。この攻勢は外城門の中のほうにアブサロム陣形(円形一点射陣形)を構築していたリベンジ血盟へと滝のように押し寄せた。 リベンジ血盟はそう軍主'ナリタ'とライン軍主'野賊'、'魚市場'など指揮部が自ら動き、突破された外城門の中から絶望的な心情で防御した。ところが時間がたつとDK連合軍の攻撃が鈍化し始めた。アデン城の知らせがオレン城の攻城部隊に届いたのだ。 時間を巻き戻してみると、アデン城の主戦場ではDK連合軍の主戦力が移動するとバーツ同盟軍が即刻再起動した。まずカーリツバーグの陣頭指揮のもと阿修羅のように奮戦したジェネシス血盟がDD地域のホワイト軍団の弓使い部隊を撃破した。ジェネシス血盟はひとつのラインを送り@地域に陣地を構築する一方、残りの兵力で戦場を駆けぬきCC地域レッド軍団弓使い部隊の背後を襲撃した。レッド軍団弓使い部隊は前後が包囲され全滅した。 続けてバーツ同盟軍は攻城ゴーレムを召還してプロフィットのバフをすべて受けた攻城ゴーレムはたった何分で外城門を破壊し内城門まで壊してしまった。アデン城に殺到したバーツ同盟軍は望楼と城壁を守っていたウィザード(攻撃魔法使い)部隊を撃破し内城へと飛び込んだ。内城を守っていたDKゴールドライン血盟は数的劣勢を克服できず全員射殺された。この戦闘で支配4血の総軍Shadowヨソルも戦士した。 このような衝撃的な知らせを受けたDK連合軍は急ぎすぎたためオレン城の村へテレポートし、戦場に直行しようとした。しかし彼らを迎えたのは下着団の決死的な抵抗だった。人間バリケードを作った下着団は弓を撃たれて死にながらも自分たちの死体で町の入り口を防いだ。死体のせいで歩くこともままならないDK連合軍はバーツ同盟軍弓使い部隊とウィザード部隊の集中砲火を受け倒れていった。DK連合軍が戦場に進入できないでいる間ジェネシス血盟のカーリツバーグ総軍主が刻印室で城の占領を刻印することに成功した。 この日、ネットカフェでは涙を流しすすり泣くユーザーたちが目撃され、ゲーム内ではアデン城のメインホールで下着団が踊り狂った。この日は'バーツ解放の日'と宣言された。この日の革命はすべてのリネージュワールドで太陽のように光った。 アデン攻城戦はバーツ開放戦争の分水嶺だった。'リネージュ2'ワールドの政治的中心地のアデン城を占領したことを基点にしてバーツ同盟軍は早い速度で分裂し堕落していった。 分裂の種は戦勝の果実を誰が持つかだった。たとえばアデン攻城戦の成功でリベンジ血盟はオレン城を手にし、ジェネシス血盟はアデン城を所有することになった。ところで最初からバーツ同盟軍の先鋒に立ち多くの犠牲を払った紅の革命血盟は得たものがなかった。アデン城の刻印をすることでアデン城を所有することになったジェネシス血盟はバーツ同盟軍ではあるがたった3週間前までは支配連合軍の一員だった。 ジェネシス血盟はジェネシス血盟で、最も兵力の多い自分たちが最も苦労をしたが、以前に支配連合軍に属していたという妙な立場のせいであまりにも多くを譲歩したと悔しがった。このように論理的には納得しても心情的に受け入れられない事態による不満がそれぞれの血盟に溜まり始めた。 革命軍の分裂と逆転 DK連合軍がアデン城に続きギラン城まで奪われ傲慢の塔9階へ退却すると、戦利品をめぐったそれぞれの血盟の間の葛藤はより深刻なものになった。 このころ、バーツ同盟軍所属の血盟たちが略称'竜ダン'と呼ばれるアンタラスの洞窟から部分的な統制とオート行為をするという非難が巻き起こる。各血盟の総軍主たちは竜ダンという狩猟場に独占区域を確保することで城の所有をめぐる血盟員の不満を押させようとした。しかしこれはバーツ同盟軍の存立の基盤を揺れ動かす致命的な事件だった。 そもそもバーツ同盟軍の叫んだ'正義と自由'のフレーズはとても支持的な意味を持っていた。このフレーズの正義は一般ユーザーを殺しオートプログラムを稼動させゲームのルールを逸脱した支配血盟に対する正義だった。またこのときの自由はどんな狩猟場でもゲームをする人なら誰でも行けるし狩りをすることが出来るという意味の自由だった。 そんな大義名分を掲げたバーツ同盟軍が支配血盟と同じ統制とオート、刺殺を行った。それは彼らを支持してきた一般ユーザーたちの信頼を根こそぎ裏切ることだった。バーツ同盟軍の戦争血盟らは自分たちの嫌疑を否定し互いを非難しながら、まだ完全に殲滅されなかった敵の前で内紛に陥った。窮地に追われていたDK連合軍はこのとき新しくパッチされた傲慢の塔に隠れ、力を養っていた。 敵の恐ろしい潜在力を無視したバーツ同盟軍は勝利に陶酔し四分五裂した。紅の革命血盟は、過去の主敵だったDK連合軍と提携することでバーツ解放に参戦した人々を唖然とさせた。"4血も悪いが反4血も悪い"という共感帯がバーツサーバーに流布されつつアデン攻城戦まで一糸乱れなく維持された団結は崩れた。下着団もまた下着団を騙った強盗たちが現れることで道徳性を信じられない警戒と疑惑の対象になった。 終わっていないバーツ解放戦争 バーツ同盟軍の堕落と分裂で戦勢は逆転した。DK連合軍は少しずつ少しずつ奪われた城をすべて奪還し、革命軍の攻城戦を成功裏に防御した。そうやって年を越した2005年1月27日DK血盟は再び無制限刺殺令を発動し'リネージュ2'の一般ユーザーはバーツ解放の夢が悲惨に挫折したことを確認することになった。 2005年6月現在バーツサーバーは解放戦争以前の残状に戻っている。狩猟場で邪魔になるという理由で一日に700名を超えるユーザーが支配血盟により殺害され、散発的な抵抗が起こり、その結果DK連合軍の狩猟場のオート行為を通じて作り出されるバーツサーバーのアデン価格は暴騰する。 しかしバーツ解放戦争のストーリーはまだ完全に終わったわけではない。ユーザーたちは、微弱ながら未だに自分のプレイするゲームがバーツ解放戦争絶頂期のその崇高な感情を運ぶ媒体、崇高の感情を呼び寄せる生きたものに変貌する現象を目撃する。 崇高とは何か高貴で神々しく英雄的なものが自分の目の前に現前するという衝撃の体験だ。それは描写できない、説明できない天地創造の瞬間を連想させる。そのような意味で未だに'リネージュ2'のストーリーは日ごとに驚くべき非日常的で衝撃的な瞬間、描写できないことが起こる瞬間の美学、崇高の美学に支配される。 2005年5月のある日、ユーザーたちは未だに抵抗している極少数血盟の中でひとつのパーティが竜の谷間でアンタラスの洞窟へと出征することを見る。時間はもう9時を過ぎた朝だ。そのパーティの主人公たちはすべて徹夜をした。数百名のDK血盟員たちと行った夜の戦いで多くの血盟員たちのキャラクターがこれ以上活動できない封印状態になった。生き残った人の中で二人はD級武器を持っている。無数の死でレベルが40以上ダウンし、無意味なほど攻撃力の低い武器を持って、玉砕するしかない戦場へと黙々と旅立っている。 一緒にパーティ狩りをしながら成長した友人たちは殆どが現実と妥協した。友人たちはそれぞれ、どう転んでもいい'親睦血'をつくり軍主になってゲーム内で平穏な人生を生きる。しかし支配権力に対する抵抗の道を選んだ血盟員たちは狩猟場もなく野宿をしながら四方から攻撃され悪名を浴びる。寂しさのあまり暖かい一言に容易く気を許し詐欺にあったりもする。 このような寂しい戦士たちが黙々と戦場へと向かっている。こんな光景は'リネージュ2'のユーザーだけが理解でき感知できる'崇高'だ。このような瞬間に'リネージュ2'のストーリーは威厳を持った犠牲者たち、最後に勝利する敗北者たち、堕落した現実に対して善を主張する無法者たちの形而上学的で英雄的な真実を伝える。 崇高な体験、帰還しない英雄たち ジョセフキャンベルは多くのストーリーで忘れられない体験をした英雄が平凡な人間世界に帰還することに困難がともなうと指摘している。英雄は平凡な世界から'見慣れない特別な世界'へ入り通過儀礼の性格を持つ苦しい体験をする。そして他人が経験できなかったその世界から特定の物質的、精神的な戦利品を持って平凡な世界に戻り人々に得をさせる。 このような分離-通過-帰還(seperation-initiation-return)の構図がいつでも守られるわけではない。すべてを満たしすべてに耐える愛と不思議で征服されない力と不滅の宇宙の影を見た英雄は人生をあまりにも深く広く見る。だから彼は楽で平穏な生活人の世界、平凡な人間世界に戻ってこれないのだ。 バーツ解放戦争のストーリーを体験した'リネージュ2'のユーザーこそ帰還しない英雄だ。その戦争は現実の時間では12ヶ月に過ぎなかったが30分が1日の'リネージュ2'の仮想現実では48年間も続いた。サーバーを超えてすべての'リネージュ2'ユーザーが息を殺して戦争の推移を観察しており、その高貴な犠牲は多くの者の気持ちを動かし、その空しい結末はユーザーの間に絶望と冷笑主義を流布した。 オンラインゲームストーリーだけが与えられるこのような叙事的感動と思想的深さを体験した人々あh二度と昔のような人には戻れない。彼らは'廃人'という嘲弄を笑い飛ばしオンラインゲームが作ったマトリックスに毎日ダイブする。この帰還しない英雄たちがどうやって現実に戻り世界を良くすることができるかという問題は仮想現実と現実の融合が重要な関心ごとに浮かぶデジタルメディア時代に深く考慮すべき時点だ。
by no_moyan
| 2008-08-19 18:31
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